幸せ最高ありがとうマジで!
10/26  パルコ劇場
作・演出 本谷有希子
出演  永作博美 近藤公園 前田亜季 吉本菜穂子 広岡由里子 梶原善


初めての本谷作品。
映画・・・ も見てないなたぶん。


「明るい人格障害」を描いていると言うこの作品で
どんな本谷・永作コンビが見られるのかを楽しみに行ってきました。



・・・・・ ユルい(笑)



なんなんだろう。
このユルさは。
これが本谷ワールドなんだろうか。
確かに今まであんまり味わったことのないタイプ。



以下、内容に触れますので、
これから見る方はご注意下さいね。










みずからを「明るい人格障害」と名乗る女性が
無差別テロを仕掛ける。

何の変哲もない、さびれた新聞販売店にいきなりやってきて
「ご主人の愛人です」って奥さんに告げる。

もちろん、そんな事実はなくて、すべてでっち上げで
さらに「無差別」ってことは、別にこの家庭に恨みがあるとか
そんなことでも何でもなくて。

理由なんか何もない。
ただ人の不幸を見るのが楽しいから。


・・・って書くと、どんなに壊れた役で
どんなにハチャメチャなストーリーなんだろう、って感じですが
そうでもなかった(笑)

「シュール」と「エキサイティング」は同居しないものなのかも。


永作博美ちゃんの、キャラクターはすごくいいです。
だいたいが、元から「魔性の女」キャラを持ってる女優さんだから
こういう役だからと言って違和感もなければ意外性もあんまりない。

それが、いいのか悪いのかはまた別の話だけど。

そして、確かにめちゃくちゃなことを言っているようではあるけど
それがむしろすごくマトモでもある。
だって、結局「自分たちは普通です」って顔をしている人たちが
彼女のテロ(笑)をきっかけに、隠し持っていた影の部分を出すハメになり、
いざ明るみに出てしまえば、
隠していた部分は結局みんな異常で、ズルくて汚くて人に言えないことばかり。


登場人物はみんな、
振り回されたり振り回したり、興奮したり絶望したり、
灯油かぶったり手首切ったりと、とっても忙しいけれど、
そのお芝居の「間」がなんともユルくて
客席にいるこちら側は、そのセリフの過激さに比べて
あんまりドキドキもしなければハラハラもしないのね。

会話はとても面白くて、
笑える場面はいっぱいあるのだけれど
客席からのめり込むような感覚はなくて。

しかも、
「普通の生活をしている人間の裏側の恐ろしさ」みたいなものを感じて
ちょっと背筋がゾクゾクっと来ちゃうとか、そういうのもなくて。


おそらく、それを求めないのが本谷流なんだろう。



セットがとってもリアルで、
しかも3つの場所(部屋)がそれぞれ見えるように工夫がしてあって
それはとっても面白かったので
そう言う意味ではこの広さの舞台が必要なんだと思うけれど。

でも、きっと
もっともっと小さな劇場で
セットなんか使わずに、会話と感情の駆け引きみたいなものを
存分にガッツリと見せる作品の方が合ってるんじゃないでしょうかね?


「幸せ最高ありがとうマジで!」というこのタイトル。

お芝居の中では別に誰も幸せになってないし。
感謝もしてないし。
オチがあるわけでもないし(笑)

でも、言いたいことはなんとなくわかるかなぁ。
ただ、本谷ワールドにどっぷり浸ったとは言えないなぁ。
これが心地いいという人もやっぱりいるんだろうなぁ。


私には、わりと普通のお芝居でした。
キャラクターはみんな面白かったよ。
特に広岡さんですね。
無表情のままで、最初は気の弱い何も考えられない人みたいだったのに
結局一番腹黒かったのは彼女かも。
人格障害の上を行く腹黒さ(笑)

永作ちゃんが、屋根の上で
バカ笑いから泣き声に変わっていくところは
たぶん、見てるこっちも何かしら胸が痛くなるはずの場面だと思うんだけど。

あんまりそんなこともなく(笑)

と言うか、彼女だったらそこで泣かないんじゃないかなぁ、と思ったりして。
でも泣かなきゃダメなんだろうな。




こういう内容のお芝居は、
きっとやる側はすごいエネルギーが必要だよね。
負のエネルギーを出すのって大変そう。

そして、言葉の使い方がとても面白かったので
本谷作品は読む方がもっとイマジネーションふくらむかも知れないな。


そして作者みずからの開演アナウンスは
あれが本谷さんっぽいのだろう(笑)

次回作は下北沢だそうですよ。
うん。
渋谷より向いてると思う。




【2008/10/26 20:49】 | 観劇日記08 | コメント(0) |
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